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2025.02.27

「土と繋がっていた色」を生みだす – 藍染工房 亞人

 

今回、沖縄の工芸に携わる方向けの講演を行う機会があり、その際に知り合った藍染工房「亞人」さんを訪れた。

縁日でも藍染(化学藍)で商品づくりをしているけれど、泥藍を使った藍染の工房を訪れるのは初めて。そもそも泥藍と蓼藍のスクモの違いもよくわかっていない。

藍染工房「亞人」さんは、沖縄県北部の今帰仁村の山あいで、琉球藍の栽培から泥藍作り、染めまでを手がけている工房。

 

工房名の由来は泉さんのおじいさんのお名前からいただいたそう。

泉さんのご両親が長年続けてきた有機農業の畑を受け継ぎ、同じ農法で琉球藍を大切に育てている。

琉球藍はキツネノマゴ科の植物で、タデ科の蓼藍とはもともと異なる種類。

タネではなく挿し木で増やしていくため、十分な量の藍を収穫できるようになるまでに数年かかったとのこと。

 

琉球藍の収穫は年に2回。直射日光に弱いけれど、日が当たらなすぎるのも成長に影響があるそう。管理がなかなか難しい。

 

無農薬・無化学肥料にこだわり、飼っているヤギの糞と雑草を発酵させて、自家製の完熟堆肥を作っている。

 

沖縄では、東南アジアで主流とされている沈殿法で染料のもととなる泥藍を作る。名前の通りどろどろとした見た目。

ペースト状の泥藍は、しっかり管理すれば数年間は染色に使えるのだそう。

 

気温が20度以下になる冬の間は藍の染まりが悪いため、藍甕はお休み中。藍は生きものだ。

 

泉さんは森に自生する梶の木を使って作品を制作している。

 

梶の木の樹皮布を使った飾りものは、自ら採取し、叩いて繊維を取り出し、染めて仕上げている。

素朴ながらも力強さを感じる作品で、とてもかっこいい。

 

 

自らの手で畑を耕し、自然と向き合いながら育て、収穫する。その日々の積み重ねを経て、自然からいただいた色を染めていく。
それこそが、亞人さんのいう「土と繋がっていた色」なのだと感じた一日だった。

泉さんのものづくりへの想いが、縁日が大切にしている「愛着を持って長く使える道具づくり」の考え方と重なるなと実感。

 

亞人さんの梶の木の飾りものや苧麻の名刺入れなどを買い付けてきたので、近日中に縁日で購入いただけるよう準備を進めます◎

早瀬ご夫妻、ありがとうございました。

 

(文・写真:庄子さおり/株式会社京屋染物店)