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2023.07.05 お知らせ

自然と作った美味しい卵 -うたがき優命園-

うたがき優命園

縁日の蜂谷淳平です。

今年の春に、岩手県奥州市にあるうたがき優命園さんに伺いました。

うたがき優命園さんは1992年、河内山耕さんと妻・可奈さんが、当時原野だった岩手県奥州市江刺区(旧うたがき村)の里山地に入植し、周辺の里山環境と調和した循環型農場を作ることに精力を注ぎ続けてきた『里山共生農場』です。
河内山ご夫妻は、ガス水道がない、薪と井戸の暮らしを30年続けており、360度緑に囲また岩手の里山で、沢山の命と共存しながら自給自足型農的暮らしを今なお楽しんでいます。

鹿肉カレー

縁日のカフェ使っている卵はもちろん『うたがき優命園』さんの卵です。(以下:『うたがき』さんという)
ご夫妻の生き方と、循環型農場で飼育された安心で美味しい卵に魅せられて、縁日の食材として扱わせていただいております。
縁日スタッフみんな『うたがき』さんの大ファンで、縁日ができる前から、カフェメニューには「うたがきさんの卵を必ず使おう」と決めていたほどです。
うたがき優命園

『うたがき』さんまでは、縁日から車で40分ほど。

のどかな里山の風景を眺めながらドライブしていると、山間にポツンと農園が現れます。

山は若草色に包まれて、山桜がようやく咲き始めた季節。

柔らかな春のコントラストに包まれた里山の光景が、一面に広がっています。

 

うたがき優命園

お伺いすると、河内山耕さん(旦那さん)が、農園を案内してくださいました。
うたがきさんでは、まさに田植えを行う前の環境作りの真っ最中。
農薬に頼らない小規模栽培で田植えを行うため、稲がよく育つ環境作りは大切な仕事だといいます。
うたがき優命園
博学で研究熱心な耕さん。
自身で菌の培養を研究し、菌の力を借りながら農薬に頼らない稲づくりを行っています。
うたがき優命園
田んぼの周りの小さな池には、沢山のオタマジャクシが元気に泳いでいました。
かつては当たり前にいたおたまじゃくしも、今では見ること珍しくなってきました。
元気に安心して泳ぐ姿を見れば、ここの水がいかに健やかであるか想像できます。
うたがき優命園
畦道を歩いていくと、耕さんが田んぼの排水溝の前で立ち止まりました。
この時期の田んぼに水を張ると、排水口のネットに雑草の種がたくさん溜まります。
うたがき優命園
排水溝に集まった雑草の種を、丁寧に取り除いていきます。
こうした丁寧な事前準備が、無農薬栽培には欠かせません。
無農薬栽培は一見聞こえが良いのですが、根気と手間がかかる作業の連続。
自然に対する愛情があってこそ、続けていける仕事です。
うたがき優命園
田園の中を少し歩き鶏舎の前に着くや否や、勇ましい犬たちの元気なお出迎え。
新参者の私たちをちゃんと警戒しているお利口な犬たちは、大切な鶏たちを狐やイタチから守るために、日夜パトロールをしているうたがき優命園の心強いメンバーです。
うたがき優命園
犬たちは、鶏舎を1匹でパトロールするよりも、3匹4匹でパトロールした方が、1頭1頭が持っている力が何倍にも高まるそうです。
みんなで連携し合ってパトロールすることで、1匹では察知できなかった変化などを敏感に感じ取ることができると言います。
 うたがき優命園
キリッと勇ましい犬たちも、可奈さんの前では、まるで母親に甘える子供のよう。
卵が私たち口に入るまでの、道のりの中にワンチャンたちの活躍があることが嬉しくもあり、微笑ましくもありました。
うたがき優命園
鳥インフルエンザ防止の観点から、鶏舎に入ることはできませんでしたが、平飼いで飼育されている健康な鶏が元気に過ごしていました。
鶏の健康の秘訣は、鶏たちの腸内菌にあると耕さんが教えてくれました。
腸内の善玉菌と悪玉菌の場所取り合戦は、早い物勝ちで決まります。
腸内環境を善玉菌で満たしてあげると、病気をしない健康な鶏に育つそうです。
逆に一度悪玉菌が広がってしまうと、いくら善玉菌を入れても腸内環境は改善し辛くるとのこと。
うたがき優命園

可奈さんはen・nichiのKAPPOGIの愛用者。 農作業から普段使いまで、毎日のように着用しています。

 

『うたがき』さんでは、研究を重ね自分たちで作った発酵飼料を、毎日鶏に与えています。
そのために鶏たちの腸内環境はいつも健康な状態に保たれ、元気な鶏が育ちます。
日本に流通する多くの飼料が海外から持ち込まれたもので、その運搬には飼料の腐敗を防ぐため、人体に有毒なガスが使われているそうです。
その飼料を鶏が食べれば、その毒素は肉や卵に渡り、結局私たちの体に入ることになります。

うたが優命園 卵

自分たちの食べるものを、きちんと理解して食べることはとても大切なことです。

 

 

うたがき優命園
『satoyama』という言葉は、2010年から世界共通語となったと元英語教諭の耕さんが教えてくださいました。
英語で自然を表す言葉でよく使われる『Nature』は、ありのままの自然の姿を意味し、人が介入していない、手付かずの自然のことを指します。
一方、『satoyama』ではドンドン人が自然に介入し、自然を利活用していきます。
しかし自然を淘汰することなく、豊かな自然とのバランスを保っていく姿が『satoyama』にはあり、世界でも類を見ない自然との関係性が日本の里山にあります。
うたがき優命園
うたがき優命園で過ごす緩やかな時間の中で、沢山の命が関わり合って暮らしていることを実感できます。
ご夫妻の営む『農園』の居心地の良さは、私たち人間だけではなく、動植物も同じこと。
動物も虫も草木も菌も、私たち人間も互いに心地良く利用し合い(寄り添い合い)ながら、過ごせる居心地がここにはあります。
人間は自然を壊すものではなく、正しい知識を持って人が自然に介入することで、沢山の命の多様性が生まれることを『うたがき』さんは身をもって教えてくれます。
うたがき優命園
私も最初にうたがきさんの卵を食べた時「そもそも卵はこんなに美味しかったんだ」と感動したことを覚えています。
うたがきの卵が美味しいのは、人間本意で美味しく作っているのではなく、『自然に作れば美味しい』ということだと思います。
そのシンプルなことを、年々も続ける河内山ご夫妻には本当に頭が下がります。
うたが優命園 卵
今回のうたがきさんへの訪問は、大切に作った卵を料理する私たちにとって、美味しく卵をお届けできるように、日々精進していきたいと気持ちを新たにする機会になりました。
うたがき優命園 卵
ぜひ縁日に訪れた際には、人と自然が一緒に作った卵の味わいをゆっくり感じていただけると嬉しいです。
うたがき優命園